団塊世代のクルマ離れ、そのリスクとオポチュニティ

前回、「若者のクルマ離れはいつから?」かをご説明しましたが、同様に人口動態を絡めた自動車市場の分析をすると、今後起こりうる現象として、「団塊世代のクルマ離れ」が予想されます。

1、現在のクルマ購入層

若者のクルマ離れが生じ初めてから既に20年以上が経ち、団塊Jrは40代後半となりました。この間次の少子化世代、ゆとり世代に於いてもクルマ離れは浸透し、若者の需要は減少して行きました。また団塊Jr世代から顕著になってきた晩婚化・非婚化により、これまでのファミリー層需要も減少にあります。
結果、現在クルマを購入している層は、60歳以上が32%を占めるまでに至っています。

クルマ購入層の年齢

2、人口予測から見るクルマの需要

今後、60歳以上、特に人口が多くかつ需要も大きい現在70代前半の団塊世代が、2025年には70代後半になり、そろそろクルマを手放す年齢になります。現在のクルマ購入後の使用期間を考慮すると、70代半ばには、団塊世代にとって人生最後のクルマ購入となるのではないでしょうか。団塊世代がクルマを購入しなくなると、需要は大幅に減少します。更にクルマを手放し保有が無くなると(団塊世代のクルマ離れ)、点検、車検、タイヤなどのアフターマーケット等、その影響は、広範囲に及ぶ事が予想されます。

60才以上の人口変動

3、団塊世代のクルマ離れは、自動運転技術の進展がカギ

この様に2025年以降、「団塊世代のクルマ離れ」により、自動車市場は急激な変化が予想されますが、この時期を遅延し緩和する事が出来るか否かは、自動運転技術の進展がカギとなります。CASEは、100年に1度の大変革と言われてますが、自動運転技術により、団塊世代にとって最後のクルマがもう一度購入する機会が訪れることになり、保有も維持される可能性があります。
自動運転レベル5が実用化されれば、クルマを手放した人も戻って来るかもしれません。

4、まとめ

「団塊世代のクルマ離れ(クルマを手放す時)」は近い将来起こり、自動車市場に大きなネガティブインパクトを与える事が予想されます。しかし、自動運転技術がその時期を遅らせるかもしれません。
自動運転の技術開発は急速に進められていますが、この技術をどの様に訴求していくか、マーケティングの視点も重要です。
団塊世代をターゲットにした、自動運転のマーケティング戦略は、1つの視点となるのではないでしょうか。
日本の高齢者ニーズを汲み取ったマーケティングは、グローバルに通じるものになるかと思います。
新技術に対する好奇心が強い団塊世代は、今後も注目です。

マーケティング調査に関するご相談はCRCまで
お問合せする

  1. 前の記事を見る<

記事一覧を見る