ジャパンモビリティショーは何だったのか?

ジャパンモビリティショー外観
2023年10月25日から11月5日まで(一般公開は10月28日から)ジャパンモビリティショーが「乗りたい未来を探しに行こう」をテーマに東京ビッグサイトにて開催されました。
コロナ禍前までは1年おきに開催されていた東京モーターショーが名前を変更して開催されたものです。

近年、世界においてモーターショーは様相が変わってきておりました。
欧米のモーターショーは観客数の減少で規模の縮小であったりモビリティショーに変更になったりしていました。一方で中国におけるモーターショーは国際ショーとしてその規模を拡大しており、東南アジアにおけるそれも自動車の普及と共にその規模を拡大しております。
日本における東京モーターショーは出展車も国際的なものから日本車に限定され来場者も減ってきており国際モーターショーとは呼べない状況でした。
自動車市場もCASE(Connected,Autonomous,Service,Electric)と言われるものが求められ従来の考え方からの変革を迫られていました。
そんな中での開催ということで自動車からモビリティへと対象を拡大し、エンターテイメントも取り入れたショーとして実施されました。

モビリティをテーマに拡大して初のショー、総来場者は100万人超え

4年前の東京モーターショーの来場者は130万人でした。日本において100万人を超える観客動員が出来るのはモーターショー以外は夏の甲子園のみとのことです。今回のジャパンモビリティショーの総来場者数は1,112,000人ということで100万人を超えました。
この数字は開催の中心であった自動車工業会としては安心できる数字だったと思います。余談ですが一日当たり集客数が10万人近くある自動車関連のショーは上海モーターショーと日本のオートサロンくらいとのことです。
今回のモビリティショーはプレスデイにおいては海外から多くのプレス関係者が来場していました。
一般公開日においては平日でも多くの方がお見えになり会場は盛り上り、ファミリーで来られる方も多く見受けられました。
そういう意味においてはこのショーの狙いは成功したのではないかと思います。
一般来場者ゲート

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023デジタルアルバムサービス 会期中画像 : ゲート」より(https://storage.tokyo-motorshow.com/ja/user/)

ところで、自動車工業会としての狙いはどうだったのでしょうか?
自動車の歴史において100年に一度の変革期と言われていますがそれが伝わったのでしょうか?
これからは自動車単独ではなく従来とは異なる産業との連携がなければCASEの実現は難しいでしょう。今回は従来の関連企業にスタートアップ企業も加え475の企業・団体が参加しました。
自動車工業会の実施した東京の近未来モビリティライフを映像で紹介する東京フューチャーツアーは約50万人が観賞したとのことです。また、会場での商談は430件にも達したとのことです。

Tokyo Future Tourの様子

Tokyo Future Tourの様子

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023デジタルアルバムサービス 会期中画像 : Tokyo Future Tour」より(https://storage.tokyo-motorshow.com/ja/user/)

プレスデイは従来のモーターショーと同様に自動車各社が15分の時間でメーカーとしてのビジョンや見どころに付いて代表者が発表を行いました。
モビリティショーと名称変更したのでそれに合わせるように地上を走る車だけでなく海から空までを移動する乗り物に話題を展開していました。

スズキ・航海

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023デジタルアルバムサービス 会期中画像 : スズキ」より(https://storage.tokyo-motorshow.com/ja/user/)

スバル・空飛ぶ車

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023デジタルアルバムサービス 会期中画像 : スバル」より(https://storage.tokyo-motorshow.com/ja/user/)

ホンダ・ジェット機

そして展示されていたショーモデルの内容も自動運転、電動化並びに社外との交信などCASEを盛り込んだ未来志向のものでした。
さらにショーの舞台の展示方法や映像関係に多くの工夫が見受けられ未来感覚を醸し出していました。

各メーカーが展示の中で訴求していたものとは?

一方で各メーカー共にheritage(遺産)の重要性を訴求していました。
これからの電動化、自動化によって画一的な車になってしまうのを避ける意味があるのだと思います。また、退屈な車になっていくというイメージを覆そうという意味合いでスポーツモデルが多かったのではないかと思います。
しかし、スポーツタイプの車はこれからの車の方向性や需要を考えるとその意味に疑問を持たざるを得ませんでした。
とりわけ人目を引く空飛ぶ車の展示もありました。
ただ、空飛ぶ車の今後はその法規関係や安全性の確保さらには免許制度等の問題が多くショーモデルに限れば人目は引くものの自動車メーカーとしてどこまで本気で取り組むのかは大きな決断が必要と思われます。
とは言え、自動車各社の展示があった東館には実に多くのお客様が詰めかけて展示してある車両に手を触れ、中を覗き込んでいました。それは日本の各メーカーの会場も欧州車(ベンツ、BMW)や中国車(BYD)でも同じ状況でした。
やはりショーに来られるお客様にとってはこのようなショーは実車を見たり触ったりできる数少ない機会なので展示車をもっと増やして欲しいところだったと考えます。それに、そのための会場と考えると今回の会場は狭すぎた感じがしました。
次回からはそのあたりを十分に考えた方法が必要だと思います。

各メーカーのショーモデルについてのコメントは、別ページ「ジャパンモビリティショー出展メーカー別ショーモデルと展示への印象」をご覧ください。
https://www.consumer.co.jp/event/japanmobilityshow2023-2/

従来の展示以外に、近未来をテーマにした展示も

自動車の展示のあった東館とは別に西館や南館でも展示がありました。
西館には従来と同じ部品メーカーの展示が行われていました。
今回はその西館の一階を使って「東京の近未来のモビリティライフ」が大きなスクリーンに上映されていました。そして同時に将来指向のアイデアのスタートアップ企業の展示が行われていました。
50万人もの人が訪れたこの催しはお客様にとって大きな関心の的であったと言えると思います。
さらに南館には東京オートサロンブース、トミカコーナー、スーパーカー/ロボット/空飛ぶ車の展示があり若者や家族で来場された皆さんには好評だったと思います。
しかし、肝心の自動車が今後どのように発展していくのか、電動化をどのように進めていくのか一つの方向に決めれないにしてもより現実的なものとして自工会並びに関係省庁が一般のお客様が乗る電動車の充電設備や充電時間、走行距離に対しての問題点やそれらに対する今後の新技術に関しての展示があっても良かったのではないでしょうか?
欧米・中国に対しての電動化の遅れ、ひいては一般のお客様のカーボンニュートラルへの関心の低いことが懸念されます。
一方でラスト1マイルモビリティ、街乗り電動車、軽商用車が生活の身近な場所での電動化の具体的な商品を提示したりバス・トラックの水素エンジン化、バッテリー交換方式など将来の具体化が見て取れたことは良かったと思います。
そして今回展示のあった中国BYDの電気自動車が普通の車として展示されているのに比べて日本メーカーの姿勢が電気自動車は特別な物ととらえているようで大きな意識の差を感じました。

我々コンシューマーズ・リサーチは自動車のデザインに関するトレンドやPQはもちろん、近未来の1マイルモビリティ、街乗り電動車、大型車の脱炭素化に関しても市場動向の把握や調査を実施しています。
今後とも自動車の未来に向けて我々コンシューマーズ・リサーチの調査がよりお役に立つように努力してまいります。

次世代モビリティ

次世代モビリティ

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023デジタルアルバムサービス 会期中画像 : 次世代モビリティ関連」より(https://storage.tokyo-motorshow.com/ja/user/)

次世代モビリティ

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