東京オートサロン2020 vol.1チューニング、ドレスアップ、何でもありが醍醐味

東京オートサロンが、2020年1月10~12日の3日間、幕張メッセで開催されました。
1983年に東京エキサイティングカーショーとして始まってから、今回で38回目となります。
この間入場者数は年々増加し、今回は33.6万人(3日間合計)となりました。
東京モーターショーとは、開催日数や会場の違いなどがあり一概に比較はできませんが、前回のモーターショーは12日間で130万人、前々回は10日間で77万人ですので、オートサロンの集客力の高さが伺えます。

オートサロンは、元々スポーツカーのチューニングカーを中心としたマニアックなイベントでしたが、今では大分様相が変わり、スポーツカーだけでなくSUV/MPV/セダン/軽、そして新型車から旧車まで様々なカテゴリーの車があり、カスタマイズの内容もアフターのチューニングからドレスアップ、キャンピングカー等のアウトドアユース、メーカー系カスタマイズ、モータースポーツなど幅広い内容になり、何でも有りのごちゃ混ぜイベントと言った印象です。しかしそれがオートサロンの面白さですね。

オートサロン会場の様子

今年のオートサロンにもCRCスタッフ数名が参加してきましたので、第1弾としてそれぞれの視点から見たオートサロンについてまとめました。

1.メーカーとインポーター(輸入車)の出展に注目

そんなごちゃ混ぜイベントの中で、注目なのは自動車メーカーやインポーターの出展です。彼らには東京モーターショーと言う大イベントがありますが、年々注目度が増しているオートサロンも重要なプロモーション活動の1つになっています。単に派手なカスタマイズカーを展示するのでなく、低迷している日本市場での販売活性化に繋がる仕掛けがあります。
オートサロンは、東京モーターショーの様な他の国際ショーの流れの中にあるのではなく、日本専用のイベントですから、日本のお客様とより近いショーとして企画されいます。東京モーターショーよりオートサロンの方が面白いと言った声は、この様な点を感じ取って貰えているからではないでしょうか。
また、東京モーターショーでのインポーター(輸入車)の出展は激減してますが、今回のオートサロンではベンツ、ルノー、ボルボ、シボレー、アストンマーチン、マクラーレン、ロータスなど7社が出展しており、 コルベット、DBX、EQCなどの注目車種が展示されました。プロモーションのコスパを考えるとオートサロンなのでしょう。今後もインポーターの展示が増えていくと思われます。
メルセデスベンツ・EQブースシボレー・新型コルベット

メーカーブースの分析も次の記事でしています。よろしければ併せてどうぞ。
「東京オートサロン2020 vol.2メーカーブース分析から見る各社の狙い」
https://www.consumer.co.jp/event/tokyo-autosalon2020-2/

2.意外と増えてきたアウトドア仕様のカスタムカー

オートサロン2018頃から少しずつ出展し出したアウトドア仕様のカスタムカーは、まだ車種も展示車両も少なかった状況から、近年のキャンプブームで自動車メーカーおよびカスタム専用メーカー共に、これまで以上に多くの車両が展示されている事に驚きました。
車種もSUV、1BOX、VANから、軽自動車と多種多様に幅広く増えています。

以前はアウトドア系カスタム用のパーツも素材も本当に少なく、理想の空間を作ることが難しかったですが、今ではキャンプブームに乗って、アウトドア系カスタム用のパーツや素材も種類が豊富になり、アレンジしやすく選択範囲も広がって個人や家族の趣味に寄り添う「オンリーワン」の素敵な空間を作り出せるようになっています。

また、自宅にいる様な、部屋タイプのカスタムもでき、趣味部屋、キッチン部屋、リビング部屋、宿泊部屋と、様々な好みの部屋にカスタマイズし、外でも自宅にいる様な雰囲気を気軽に楽しめそうです。
個人的には、リビングにキッチンを足したタイプで、料理と昼寝を楽しんでみたいかな。(笑)

車上泊用にルーフの上に取り付ける「ルーフトップテント」を装備した展示車も多数あり目立っていますね。簡単にテントを設置できること、設置場所の確保がいらない事が嬉しいです。
海や山と地上にテントを張るのも楽しいけれど、地上より高い場所で寝るのも気持ちがよさそう。
ただ、家族が多いと厳しそうですね。(落ちないか心配??)

さまざまな室内のアレンジ

(左)ホンダ:N-VANをベース/(右)トヨタ:RAV4をベース

(左)ダイハツ:ハイゼットトラックをベース/(右)トヨタ:ハイラックスをベース

トヨタ:ハイエースをベース

トヨタ:ハイエースをベース

トヨタ:ハイエースをベース 

車中泊用のルーフテント

3.光の下で輝くグラインダー加工

オートサロンといえばド派手にドレスアップしたりチューニングされたカスタムカー。今回はクルマの塗装に着目してみました。

施工の工程としては基の塗装をはがしてボディ表面に傷をつけ、その上から何層にも塗装を重ねて凹凸をなくしていくというもの。
塗装を綺麗に剥がしたのち表面に傷を付けているという事で、同じものは作ることができません。
流麗な線が重なるデザインで、屋内でも綺麗に見えていましたが、太陽の下で見るともっと綺麗に見えるそうです。
以前はクルマの塗装とえいばエアブラシやステッカー等によるものでしたが、グラインダー加工はより立体感が有り、見る角度によって違った印象に見えるのが特徴的でした。

他の出展ショップにあるクルマでも、いくつか同じ様なグラインダー加工をしている車を見ましたが、どの車も目を引く美しさでずっと見ていたいほどでした。

個人的な意見ですが過去何度もオートサロンには行っている中で、今回はこれまでと雰囲気が違うように感じました。
昔は「こんなクルマ見たことない。本当に街で走れるの?」と感じる車が多いイメージでしたが、今回はエレガントでスポーティな大人向けのカスタマイズが多く、ターゲット層が少し大人向けになってるのかなと感じるイベントでした。

グラインダー加工1グラインダー加工2

4.マツダCX-30・都市にもフィットするクロスオーバーSUV

近頃マツダといえば“レッド”(ソウルレッドクリスタルメタリック)というイメージが強かったですが、『ポリメタルグレーメタリック』と呼ばれるグレーのCXシリーズの車たちが並んでいました。
これらは「オートカラーアワード2019」でグランプリを受賞したカラーで、CX-5のインテリアにはバーガンディ(ワインレッドのような深みのある赤)、CX-30にはネイビーブルー/グレージュ(青みのあるグレー)をそれぞれ合わせたスタイルで新たな世界観を創出しています。
マツダブースマツダ・オートカラーアワード

タイミング良く開発者のトークセッションを聞くことができ、デザイナーと生産側の相互のこだわり・苦労・チャレンジが垣間見えて興味深い内容でした。
クルマの安全基準が高まるにつれ、デザインの制約も多くなっていますが、そのような中でもユーザー目線にこだわった”良いもの”を生み出すために挑み続けた結果なんだなと純粋に感じました。
外観に加え、「使えるデザイン性の高いクルマ」にこだわったCX-30について、トークセッションで印象的だったのは主に以下の2点です。
 
居住性とデザイン両方を保持した全高
・ルーフを後ろ下がりではなく、後ろ上がりにし、Dピラーを寝かせることで、スポーティながら流麗なキャビンのデザインに。
・居住性の面では、ルーフ後方を上げる+内装寸法を切り詰めることで頭上空間を確保。さらに前後の座間拡大と、地上高を拡大しつつ、フロア高さを下げることで、居住性を保ちながらも全高は*1,540㎜に抑えた。
  *マンション等の一般的な立体駐車場にも入庫可能な寸法
出し入れしやすい荷台の開口高さ
・積載可能容量はさることながら、成人男性をロールモデルに重いものを積む際に持ち直し無く1モーションで積載可能な高さで展開。
・当初はクルマの強度の問題で、開口部の高さを下げることは難しいものがあったが、ユーザー目線にこだわり、その突破口を見つけた。
マツダCX-30・デザインと居住性の両立マツダCX-30・開口部のこだわり

今回は色・見た目の面では2パターンの紹介がされましたが、
安全かつ快適な空間に加え、自分好みのデザインを選択できる幅が広がれば多くの人がより楽しいカーライフを得られるだろうと感じました。
マツダCX-30・フロントマツダCX-30・リヤ

5.幕張に”俺のクルマのワンダーランド”出現

令和の正月まだ松の内、幕張メッセは異様な熱気に包まれていました。
オートサロンとは、その昔晴海会場の時は竹やりマフラーにシャコタン、リーゼントのお兄ちゃんとポニーテール娘が闊歩していた改造車のショウ。そして98年の規制緩和で改造車がカスタマイズカーという市民権を得てからは、カーメーカーも参加して車をドレスアップするショウに変貌。その当時アフターマーケット市場は、3兆円の規模に膨れるのだと言われ、ショウが一気に盛り上がった時期でした。

あれから20年以上経って自動車を取り巻く環境が大きく変わる中で、今年のオートサロンは非常に興味深かった。何故ならば、つい2か月前のビッグサイトでの東京モーターショウが、車を置かなかったりコンパニオンが減ったりと、見ていて全くときめかないショウでしたから。

会場に入ると溢れる人々の国際色も豊か。カーメーカーの大きな仕掛けの展示から、改造パーツやチューニングをする小さなブース迄それぞれが”俺の車”を主張をしていました。
それは、モーターショウが作り手の目線だとすると、こちらはユーザーのマインドそのもの。
あのビッグサイトで放っていたカーメーカーのメッセージが建前だとしたら、本音はこちらだという訳なのでしょうか。
マッチや土屋圭一、そしてテリー伊藤迄もが、トークショウ等で俺のクルマ論を熱く語っていました。屋外ではドリフトのデモも行われ、エキゾーストやタイヤの焼ける臭いで五感をくすぐられもしました。
哀川翔と川端真人トークショーの様子

やっぱり車は単なる移動手段だけでなく、デートの道具だったり自分のファッションの一部だったりと。そして沢山の思い出を作ってくれる、そう人生を豊かにしてくれる物なんだと改めて実感させられた時間でした。
「俺のクルマ」が溢れるオートサロン

今回は中国メーカーの出展も僅かながらあり、カッコいい中国の若者達を数多く見かけました。
EVの先進国として自動車大国になった彼らが、帰ってから何をするのかも興味があり追っかけてみたいです。

自動車業界に関わる方々は、難しい理屈抜きにあの空間の中に暫し身を置くことをお勧めします。
そこで感じた時代の変化を是非次のビジネスに繋げて下さい。

”まだまだ車は面白い”と心底感じた令和初のオートサロンでした。

6.まとめ

スタッフ各々が見た・感じたオートサロン、いかがでしたでしょうか。
3日間で33万人を集めるイベントですので、その盛り上がり具合はもちろん、まさにごちゃ混ぜのイベントの通り、スタッフが見る視点もそれぞれでした。
では、最後は東京オートサロン2020のフォトギャラリーでレポート第1弾を締めたいと思います。

ギャラリー1・トヨタヤリスギャラリー2・スズキカタナエディションギャラリー3・スバルレヴォーグSTIカスタムギャラリー4・三菱デリカD:5ギャラリー5・日産GT-Rのカスタムメーカー展示のカスタムカー

ギャラリー6・トヨタヤリスカップカスタムギャラリー7・スバルスーパーGTモデルモータスポーツカーも色々

ギャラリー8・トヨタWRC2020シーズン体制発表の様子ギャラリー9・トヨタブーストヨタのWRC2020シーズン体制発表も。開始前はブースへ人が殺到

ギャラリー10・ダイハツのキッズ対象エンジン組み立て体験ギャラリー11・FALKENブースギャラリー12ギャラリー13・ブリヂストンブースギャラリー14・ダンロップブースの走行体験ギャラリー15・RECALOブースギャラリー16・ホンダブースBLACKEDITIONブースは展示のみから体験型まで様々

ギャラリー17・初出展のVOLVOギャラリー18・アストンマーチンギャラリー19・マクラーレンギャラリー20・メルセデスベンツEQのセンターディスプレイギャラリー21・メルセデスベンツVクラス室内のモニター初出展のVOLVOを始めインポーターも特別仕様の車両等を展示

ギャラリー22・カスタムコンテストも受賞したNATTOギャラリー23ギャラリー24ギャラリー25ギャラリー26ギャラリー27ギャラリー28ギャラリー29ギャラリー30ギャラリー31ギャラリー32・ギャラリー33・モデリスタクラシックカーから新しいモデルのカスタムまで多様なクルマで溢れていました

●東京オートサロン2020レポート第2弾「東京オートサロン2020 vol.2メーカーブース分析から見る各社の狙い」はこちら
https://www.consumer.co.jp/event/tokyo-autosalon2020-2/

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