EV統計、電気自動車の販売台数/保有台数(EVの普及率)分析-2

前回、「電気自動車市場動向の概要」と、「電気自動車普及による社会的影響や変化」についてご紹介いたしましたが、今回はCRCが所有している電気自動車の統計データの一部をご紹介致します。

1、電気自動車の保有台数

販売台数データと共に、電気自動車がどれだけ普及したかを示す保有台数データも、重要な統計データです。
2010年に電気自動車(BEV)が発売されてから2020年3月末までの間に、累計で15.2万台販売されましたが、現在市場に存在している保有台数は12.1万台で、残存率(保有台数÷販売台数累計)は、80%の状況です。

BEVの累計販売台数と保有台数

次に保有台数を初度登録年別に、その年の販売台数と比較してみますと、以下の通りとなります。

BEVの販売台数と初度登録年別の保有台数

また残存率の推移(初度登録年別保有台数÷その年の販売台数)は以下の通りとなり、販売されてから約6年過ぎた2014年以前になると電気自動車(BEV)の残存率は60%程度になります。

BEVの残存率

電気自動車(BEV)の残存率は、登録乗用車全体と比べると低く、要因としてはバッテリーの劣化やその懸念により中古車市場での人気が低く(価格が安い)、その為廃車が多いのではないかと思われます。
電気自動車を普及させていくには、中古車市場も重要で、これは下取り価格のUPにより新車販売にも繋がります。

この様に、初度登録年別の保有台数により、何年前に販売された車が何台残っているか分かります。またその年の販売台数との割り算により、残存率が計算できます。
残存率は、販売台数予測を基に保有台数の予測をする際にも活用されます。

2、電気自動車の地域別保有台数

2020年3月末時点の電気自動車(BEV)の保有台数を八地方区分で見ると、もっとも多いのは関東地方、次いで中部地方の順です。

BEVの八地方区分別保有台数

電気自動車(BEV)の保有台数と乗用車全体の保有台数とを構成比で比較してみると、北海道がやや少ない状況です。
やはり「ヒーターの能力とバッテリー消耗への懸念」「低温時のバッテリー性能に対する懸念」「4WD車が無い(2020年3月末時点)」などが影響しているかと思われます。

八地方区分別保有台数構成比

次に最も多い関東地方の内訳を見ますと、神奈川県が1位となっています。
また、電気自動車(BEV)の保有台数と乗用車全体の保有台数とを構成比で比較してみても神奈川県が27%と高く、これは神奈川県の取り組みや日産の販売力による影響と思われます。

関東地方の都県別保有台数

関東地方の都県別保有台数構成比

この様に統計データをブレイクダウンし分析すると、傾向が読み取れます。CRCでは更に詳細の市町村区分まで、ブレイクダウンが可能です。これにより、地方自治体別の電気自動車保有台数も把握できます。

3、地方自治体による災害時の電力確保

地震、異常気象、火山噴火など災害に対する備えが求められていますが、いくつかの地方自治体では災害時の緊急電源として、避難拠点での電気自動車の活用を推進しています。
災害時にその地域で、どれだけの電力を確保できるのか?どれだけの世帯がどの程度電力自給可能なのか?を把握しておくことは、災害時の備えとしてとても重要な事です。
CRCでは、電気自動車の保有台数をバッテリー容量別に地域(市町村)毎に集計する事で、その地域にどれだけの電力が確保されているか分析し、災害対策に取り組んでいる方々に、ご提供していきたいと考えてます。

車種、グレード別バッテリー容量

地域毎の理論総電力量計算式

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