【eKクロス試乗インプレッション】質感/装備/機能/走行性能などを徹底調査

前回eKクロスのデスクリサーチ編をお届けしましたが、今回はeKクロスのインプレッション編です。評価対象車種は、T(ターボ)グレードの4WDで、豊富なオプションが装着されています。ではeKクロスの魅力を多面的に徹底研究したいと思います。

ekクロス外観1
ekクロス外観2
ekクロス外観3

ekクロス諸元

1、エクステリア

まずは、エクステリアの4つの魅力点と1つの残念な点をお伝えします。
エクステリアの魅力点と残念な点

何と言っても個性的なフロントデザインがこのクルマの魅力です。ダイナミックシールド(三菱のフロントデザインコンセプト)を採用し、力強さに加え上質感もあります。ヘッドライトはLEDで、ロービームが2灯、ハイビーム時は1灯追加され3灯となります。更にフォグランプを点灯させると、上部のLEDポジションランプから縦に連続したライトの光は圧巻です(フォグランプがハロゲン(LEDはオプション)なのは残念ですが)。リヤコンビランプも点灯時のデザイン性が高く、またLEDストップランプは視認性が高いなど、夜間時のランプ類のデザイン性や機能性も大きな魅力点です。
ランプ周り

<フロント>フロントランプの昼夜の光り方

<リア>リアランプの昼夜の光り方

サイドのキャラクターラインは、ウェッジの効いた強いラインで、力強さと躍動感を与えています。室内を最大限に広くしつつ、軽自動車の規格(全幅1480mm以下)の中で深みのあるキャラクターラインを造るのは、ドアの内部構造の設計も含め苦労があったのではないでしょうか。
サイドのキャラクターライン

ホイールアーチとサイドシルガーニッシュを黒くすることで、足回りの強さを表現しています。ホイールアーチはデカールですが、これはeKワゴンやデイズとのボディ(板金部品)共用化の為です。共用した板金部品(凹みが無い)に、樹脂の別部品を取り付けると全巾が広がり、軽規格(全幅1480mm以下)を超えてしまいます。
アルミホイールは、外形が大きく見えるデザインで、足回りの強さを表現したホイールアーチと良くマッチしています。
ホイールアーチとサイドシルガーニッシュ

ルーフレールは、剛性が高く機能性があり、またファッション性もありますので、是非とも付けたいオプションです。
ルーフレール

2、インテリア

インテリアについても4つの魅力点と1つの残念な点を紹介します。
インテリアの魅力点と残念な点

インパネ形状は水平基調で、すっきりしたデザインになっています。インパネ上部と下部との間には、オープントレイが助手席側からシフトの位置まであり、機能性もあるデザインです。
今回評価した車は、オプションのプレミアムインテリアパッケージ(55千円)が付き、助手席側は合成皮革生地+ソフトパッド、メーターフード廻りはABS+塗装、ドアトリムは合成皮革生地のインサートが施してあり、とても高級感があります。
プレミアムインテリアパッケージ‐フロント部分
プレミアムインテリアパッケージ‐ドアトリム周り

標準車のインパネのアクセントはブルーのPP原着(原料着色、塗装無し)、ドアトリムはクロスインサートになりますが、これでも十分な質感があります。
標準車のインパネ、ドアトリム

メーターは、左側にタコメーター、中央にマルチインフォメーションディスプレィ、右側にスピードメーターが施されています。透明の立体的なメーターリングやブルーのアクセントは、夜間は質感を感じますが、昼間はやや見難い印象です。それとekクロスに限った事ではありませんが、今時タコメーターは必要でしょうか?無くすか小さくして、その分マルチインフォメーションディスプレィを大きくし、見やすくして欲しいです。
メーターの昼夜での見え方

エンジン始動時には、メーターの指針が1度フルスケールまで動き、マルチインフォメーションディスプレィには車の画像が表示されます。

マルチインフォメーションディスプレィは、縦横のマトリックスで構成されていて、多くの情報が表示されます。
マルチインフォメーションディスプレイの各メニューの表示

空調パネルは、ピアノブラックの面にタッチスイッチが施され、使い易くしゃれた感じです。基本はオートにしておけば良いですが、風量を切り替える時は7セグメントに分かれているスイッチを選択、モード(風向き)は空調絵表示に触れる事で切り替わります。
空調パネル
空調パネルの切り替え

9インチの大画面ナビは、とても見やすく良好です。シンプルなスイッチ類は操作性が良く、誰でもすぐに使い熟せそうです。
9インチのナビゲーション全体9インチのナビゲーションズーム

USBポートはオプションで装着されてましたが、現在では必須アイテムではないでしょうか。
USBポート

3、シートとパッケージング

シートとパッケージングについても4つの魅力点と1つの残念な点を紹介します。
シートとパッケージングの魅力点と残念な点

運転席は、残念ながら写真では分かりませんが、長時間の運転でも疲労が少ない工夫が施されています。シート生地は合成皮革とファブリックで上質感があります。
<プレミアムインテリアパッケージ>後席のシート生地

後席は、足元のスペースがとても広く、かつフラットな床面により、広々とした居住空間を確保しています。
(シートスライドをリヤモーストにした時は、18L用ポリタンクが縦に置ける広さがあります)しかし残念なのは、シートクッションがやや小さい事と、ヒップポイントがやや低い為、大人にとって長時間乗るには座り心地が良いとは言えません。
ジュニアシート(身長140cm以下)が不要となった身長150cm前後の子供や、小柄な大人には良いでしょう。しかし折角の広い空間ですので、何か工夫が欲しいです。
後席のスペース感

荷室は、後席のスライド機構と2分割フォールダウン機構により、広さを調整できます。後席のスライドは荷室側からもレバーで操作できるので、便利です。
荷室のスペース感
後席のスライドレバー
<左:荷室フロア(リヤモースト時)/右:荷室床下収納は4WDの為深さは無いです>荷室フロアと床下収納
<後席フォールダウン(フルフラット)の状態>後席フォールダウンの状態

小物の収納は、カタログにも記載ありますが、豊富にあります。特に便利なのは、スマホやお財布をちょっと置くのに便利なアッパーオープントレイ、引き出し式のセンタートレイです。助手席ドアトリムにある車検証入れも良いアイデアです。
小物収納について(アッパーオープントレイ、センタートレイ)
小物収納入れ(車検証入れ)

4、走行性能

走行性能については、3つの魅力点と2つの残念な点を紹介します。
走行性能の魅力点と残念な点

今回は大人(男性)3人乗車、しかも試乗車は4WDですので、2WDの1人乗車と比べると約200Kg重い状況でした。しかしそれでも、一般道、高速道路共に十分な走りをしてくれます。最初の出足加速はハイブリッド機能によるモーターアシスト、その後はターボのトルクによる加速に繋がり、ストレスの無い走りが味わえます。

1人でドライブに行き、ワインディングロードで走りを楽しむのも良いかもしれません。
最小回転半径は4.8mで、同クラスと比べ小さい訳ではありませんが、電動パワーステアリングのアシストにより、とても取り廻しがし易いです。
走行時の静粛性は、一般道、高速道路共に良好ですが、加速時のエンジン音に質感不足を感じました。CVT特有のラバーフィールと共に、エンジン音がやや気になります。
また、乗り心地がやや硬めで、操安性は良いものの、高速道路での段差の突き上げが強い印象です。
外観・内装のデザインは質感の高い仕上がりになってますので、走りの質感もそれに見合うレベルになると、良いと思います。
(走りにもパーシブドクオリティ(感性品質)の向上が求められる)

5、注目装備

(1)MI-PILOT(マイパイロット)

MI-PILOTは、このクルマの最も注目される装備です。高速道路において、車両側がアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を支援する事で、ドライバーのストレスや疲労を軽減し、ロングドライブをサポートするとの事ですが、実際に使ってみて、メーカーの説明通り高速道路でのロングドライブにはとても有効な機能です。軽乗用車がファーストカーとして位置づけられつつある中で、高速道路走行は、想定される使用シーンの一つとして有りだと思います。
MI-PILOTの設定は、ステアリングスイッチで行い、動作状態はマルチインフォメーションディスプレィに表示されます。
先行車両が入れ替わらない時の動作はとても良好で、先行車両との距離を自動で保ちながら、ステアリンググアシストは軽く握っているだけで、安定した走行を自動で保持してくれます。しかし、まだまだ発展途上の装備ですから、気になる点もいくつかあります。
以下、主な点です。

①ACC(アダプティブクルーズコントロール)作動のON/OFFは、マルチインフォメーションディスプレィ内に表示されますが、やや分かりにくいです。作動しているか否かは重要な情報ですので、ドライバーにしっかり伝える工夫が求められます。HUD(Head Up Display)が有効と思いますが、まさに今流行りのHMI(Human Machine Interface)の領域です。
MI-PILOTのACCがONになっている状態

②インターチェンジなどで、廻りのクルマが入り混じり、先行車両が度々変わる場面では、追随しきれない場合もあります。

③急な加速や減速が必要な状況において、ややレスポンスが悪い印象です。そもそも高速道路で急な加速や減速はしてはいけませんが、、。

(2)マルチアラウンドモニター

マルチアラウンドモニターは、今や欠かせない安全装備です。9インチの大画面に映像が映し出されるので、とても見やすいです。画面に出るガイドラインに沿ってハンドル操作をすれば、難なく駐車できます。
また、移動物感知機能が付いている為、歩いている人や自転車等を検知して、映像と音で注意を促してくれます。
表示画面は、後方全体に加えクルマを上から見た映像と、車体左側を映した映像の切り替えができます。
マルチアラウンドモニター

(3)デジタルルームミラー

デジタルルームミラーは、注目の装備です。後席の乗員や荷物等で見難い時に有効との事ですが、遮る物の有無に関わらず普通のミラーよりもワイドな映像が映し出される為、視界は良好です。また助手席からも同じ映像が見れるのも良い点かと思います。しかし慣れないと、斜め後ろの車との距離感が掴みにくいかも知れません(普通のミラーとの切り替えが付いてますが)。
デジタル時は、マルチアラウンドモニターとしても機能しますが、ナビの9インチ大画面に切り替えて映し出した方が見やすいです。
デジタルルームミラー
普通のルームミラー
夜間でのデジタル表示のルームミラー

マルチアラウンド表示状態
マルチアラウンド非表示状態

6、纏め

市場背景として、軽のファーストカー化により、質感があり装備も充実している軽自動車が求められつつある中で、eKクロスは質感の高い外観・内装デザインと充実した装備を有し、市場ニーズに合った商品に仕上がっていると思います。
SUVテイストの解釈を単に、力強さやラギッド感とせず、SUVの持つ安心感とさらに上質感を表現している点が、上手く纏まっているポイントです。
一方、走りの質感とのバランスがやや気になりますが、今後玉成される事をメーカーに期待したいと思います。
上質感をキーワードに深掘りすることで、もっと魅力ある商品に仕上がるのではないでしょうか。
皆さんも是非実際に「見て、乗って、触って」みてください。クルマの魅力が伝わってきます。

 
 
デスクリサーチ編はこちら
軽自動車が面白い!ここまで来た「eKクロス」の上質感と充実装備

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